植物園の最近
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2024.2.14

龍の口元の瑠璃色の珠
あなたの家にも隠されているかも

辰年にちなむにはもう遅すぎる2月も中旬ですが。。。
植物園に棲まう龍の口元の珠です。

とてもきれいな瑠璃色の珠はリュウノヒゲ種子です。
辰年にことよせてリュウノヒゲという別名の方を先に紹介しましたが、
いつものように 「当園は薬学部ですからね」ということで、
植物和名の表記は日本薬局方(第18改正)に従いましょう。

これは、ユリ科の植物ジャノヒゲの種子です。
日本薬局方で採用している新エングラー分類体系や、クロンキスト分類ではユリ科に分類されていますが、
DNA情報に基づくAPG分類では
キジカクシ科(クサスギカズラ科)に分類されています。
●◎●◎●
ジャノヒゲ根の膨大部
日本薬局方に収載される生薬バクモンドウ麦門冬)です。
強くせきこみんだり、のどに乾燥感がある方のからぜきなどに用いる
麦門冬湯という漢方薬はこの生薬名が付いているので、
耳にしたことがあるかもしれませんね。
和名や科名が色々あり なんだか面倒な気がする上に、
写真の部位には 少しビックリするかもしれません。

どこから見ても果実にしか見えず、色々なところで果実と表記されていますが、
(私も口頭ではつい果実と言ってしまうときもあるかも)、
これ、種子です。

果皮はとても薄く、破れて落ちてしまい、
種子がむき出しです。

昨年は3月末でも果実が見られたので、
今年も春の再開園後に見ていただけるかもしれません。
ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)は常緑の多年草で育てやすく、手間もかからないため、
グランドカバーとして良く用いられています。
こんな植物を、よく見かけませんか?

葉の根元の奥の方に種子があるので、上から見てもなかなか気づきません。
もし、ご家庭の庭にジャノヒゲがいたら、
優しく葉をよけて探すと、この瑠璃色の珠(種子)に会えるかもしれませんよ。



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