最強の毒草の一つ“トリカブト”は葉や根だけではなく全草が有毒です。花粉や蜜にも有毒なアルカロイドが含まれます。そのためミツバチによりトリカブトの蜜が集められたり、運ばれた花粉が混ざったりすると大変です。すぐに致死量を超えてしまいます。
でも、大丈夫!! 養蜂家の方はミツバチが飛べる距離の中にトリカブトが咲いていない場所でしか蜜を集めません。プロはちゃんとご存知なのですね。さすがです。だから、市販のハチミツは安心です。これは、有毒な植物の蜜に対しても同じです。しかも、植物の花粉の形は植物により違うので、顕微鏡で見てトリカブトの花粉が入っていないことも確認できます。
さて、山の中で野生のミツバチの巣を見つけることがあります。百花蜜をゲットしてヤッタ-!と喜び、甘くておいしいねと食べると。。。運が悪ければトリカブトの蜜入り、花粉入りだったということも。後悔先に立たず。
トリカブトの花粉(蜜)が混入しているハチミツによる中毒や死亡事故も過去に報告されています。しかもニホンミツバチは一度に集められる蜜の量が少なく、時間をかけて蜜を集めるので、ハチミツを見つけた時がトリカブトの開花シーズンではないからといって安心できません。特にトリカブトのアルカロイドは毒性が強いため、致死量に十分な量が混入している可能性もあります。お気をつけて。(矢印で示した昆虫が蜜を集める蜂かどうかはわかりませんが、ミツバチもこのような感じでしょう)
なお、トリカブトには、日本薬局方に収載されているオクトリカブトとハナトリカブト以外にも多くの野生種があり、日本には40種あるともそれ以上あるともいわれています。
とりあげた植物 について
★ トリカブト
キンポウゲ科トリカブト属植物の総称
このうち、ハナトリカブトとオクトリカブトが日本薬局方収載の生薬ブシの基原植物とされる
★ ハナトリカブト
Aconitum carmichaeli キンポウゲ科
塊根を加工:生薬 ブシ(加工ブシ) 日局18
★ オクトリカブト
Aconitum japonicum キンポウゲ科
塊根を加工:生薬 ブシ(加工ブシ) 日局18