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研究内容access

project-1

インド、スリランカの伝承薬物“サラシア”から単離された強力な血糖効果作用を有する salacinol をモデルにした新たな糖尿病治療薬の開発


 地図
インド、スリランカの伝承薬物 Salacia reticulata


サラシアはインド・スリランカから東南アジアにかけて広く分布する植物で、古くからアーユルヴェーダー(民間療法)にて糖尿や肥満の治療に用いられてきました。また、スリランカの王侯貴族はサラシアの幹をくり抜いて作ったコップに水を入れておき、食事の前にその水を飲んで、糖尿病を予防したと言われています。我々の研究グループは、サラシアの成分を分析し、強力な血糖値上昇抑制作用(α-グルコシダーゼ阻害作用)を示す化合物, salacinol を見出しました。Salacinolの発見以来、サラシアに注目があつまり、サラシアは健康補助食品素材として国内外で注目されています。また、我々は、salacinol をシードとした構造活性相関研究を行い、現行の糖尿病治療薬(α-グルコシダーゼ阻害薬)より数十倍強力な作用をもつ化合物の創製に成功しました。本研究に関する発表「Salacinol をシードとするスルホニウム塩型α-グルコシダーゼ阻害剤のin silico 設計, 合成及び評価」が、2012, 10月 第19回天然薬物の開発と応用シンポジウムにおいて優秀発表賞を受賞しました。

   
   
in silico 計算化学により得られたα-グルコシダーゼ (ntMGAM) とsalacinol (A) および我々が創製した高活性類縁体 (B) との結合様式
この内容は、Chem. Commun. 2012, 48, 8646-8648にて発表

project-2

生体反応に深くかかわるcalciumシグナルの調節作用を有する新奇糖脂質 acremomannolipin A の構造-活性相関研究

糸状菌Acremnium strictumの培養物から単離された Acremomannolipin A (1) は Calcineurinノックアウト細胞の示す Cl– 感受性を効果的に回復する。我々は、1の新奇な糖脂質構造を明らかにするとともに、その全合成を達成した。現在は、1の構造活性相関について検討中である。

project-3

非天然型機能性分子人工生合成のための技術開発や合成生物学研究

ペプチド性天然化合物の多くは、非リボソーム性ペプチド合成酵素 (NRPS) により合成される。NRPSはadenylation (A)、thiolation (T)、condensation (C) domainを基本構成単位として有している。A-domainは、非常に厳密な基質特異性を有し、ペプチド性天然化合物合成における ”gatekeeper” としての役割を担っている。そのため、非天然型ペプチド性化合物創出へ向けたprecursor-directed biosynthesis (PDB)、mutasynthesis、精密機能解析、進化分子工学の標的タンパク質となっている。しかしながら、非天然型ペプチド性化合物を合理的に設計し、創出することは、A-domainの遺伝子·酵素·反応の精密な理解やタンパク質工学が成熟しつつある現代においても容易ではない。一因として、実験事実に基づいたA-domainの酵素機能の体系的な理解が未熟なことに加えて、非天然型ペプチド性化合物の合理的な設計指針を欠いていることが挙げられる。
本研究では、A-domain選択的ラベル化剤を活用した生合成系プロテオミクス解析技術を確立し、非天然型ペプチド性化合物の合理的な設計·生合成を実現する。そして、設計したものを確実につくる ”テーラーメイドなものづくり” を目指していきたいと考えています。
References
1. Chem. Commum. 2015, 51, 2262-2265; 2. Chem. Commun. 2015, 51, 15764-15767 (Highlighted as a back cover); 3. ACS Chem. Biol. 2015, 10, 1989-1997; 4. ChemBioChem 2015, 16, 2590-2594. 

project-4

その他、抗炎症、抗ガン、抗肥満、美白作用を有する化合物の合成研究など