研究テーマ

マイクロプローブを用いた新規溶出試験法の開発に関する研究
 日本は急速な高齢化に伴い、国民医療費の増加が問題となっている。この国民医療費の抑における取り組みとしてジェネリック医薬品が推進されている。一方、これらジェネリック医薬品の使用拡大において、ジェネリック医薬品の効果、製剤自身の純度や品質を明確とすることは非常に重要である。本研究室ではマイクロダイアリシス法とHPLCを用いジェネリック医薬品の品質・製剤評価法を目的とした新規溶出試験法(マイクロダイアリシス導入法)の確立を目指し研究を行っている。
ナノ粒子化による血流改善薬静脈内投与法の確立
 薬効が高く、副作用が少ない医薬品であっても、溶解性が低ければその用途は軽減される。本研究室ではこれら疎水性医薬品の新規溶解化の開発を行っており、この技術を用いることによる医薬品の使用用途の向上を目的としている。
粒子径の違いを利用した全身性経皮吸収製剤の開
 経皮吸収製剤は、皮膚に貼付し、皮膚を等して薬物が局部または全身への移行を示すタイプの医薬品です。本研究室ではこれら医薬品のナノ粒子化を行うとともに、このナノ粒子を経皮吸収製剤として応用し、これまで吸収性等が乏しいなど経皮吸収に不向きであった医薬品の用途拡大を検討している。
ナノ化テクノロジーを用いた口腔内崩壊錠の開発
 医薬品をナノ粒子化させ、その特性と用い口腔内崩壊錠の開発を目指し、ナノ粒子に適した処方設計を行っている。また、これら口腔内崩壊錠の血中動態や体内での動きについてもを検討している。
肺深部送達型吸入用ナノ粒子製剤の開発
 現在、経口投与ならびに経静脈投与による薬物治療が主流であるが、新たな投与経路として経肺投与が注目されている。本研究ではナノ粒子化技術を応用することにより、従来困難とされてきた薬物粒子の肺深部送達を検討するとともに、ナノ化による溶解性改善効果より薬物吸収性の向上を試みる。また、肺線維症や肺がんなど難治性・致死性の呼吸器疾患に対する革新的な治療法の実現を目指す。
ナノ粒子分散液の調製と眼科領域への応用
 400 nm以下の薬物粒子は角膜を比較的通過やすいことから、安定なナノ粒子分散液を調製し、その角膜透過性や眼内動態について検討し、新たな点眼製剤(DDS製剤)の開発を目指す。
角膜障害治療製剤の開発
 長期点眼医薬品を使用しなくてはいけない疾病患者にとって、点眼薬による細胞毒性は避けては通れない問題である。また近年、パソコンやコンタクトレンズの普及によりドライアイを含んだ角膜障害はより身近な疾患になりつつある。本研究室では、上皮細胞の分裂・移動の促進、脱落の抑制及び細胞代謝の改善を高める医薬品を開発することによる角膜障害治療製剤の開発を目指している。
市販点眼剤の角膜障害性評価法の確立
 現在臨床において、多くの疾病に対する治療法の第一選択は点眼剤を用いた薬物療法である。しかし、緑内障や白内障等ではその疾病の性質上長期に渡り点眼剤の使用が行われ、角膜傷害性が問題視されている。本研究ではヒト角膜上皮細胞を用い点眼剤の角膜傷害性評価法を確立するとともに、市販点眼剤の角膜傷害性強度について比較調査を行っている。
眼圧降下と視神経賦活を同時標的とした緑内障治療製剤の開発
 眼疾患のうち緑内障は先進諸国で失明の第一疾患として挙げられている。緑内障の発症要因は網膜血管の収縮による視神経の衰弱と考えられているため、網膜血管の拡張を行う医薬品及び視神経賦活作用を有する医薬品開発を目指している。
白内障発症機序の解明とその治療製剤の開発
 眼疾患のうち白内障は開発途上国で失明第一疾患として挙げられている。白内障の発症主因は、酸化的傷害とされていることより、本研究室では活性酸素捕捉能を有するジエチルジチオカルバミン酸(DDC)に着目している。水溶性が高いDDCは角膜をほとんど通過しないため点眼製剤としての利用は困難であったが、DDC2分子がジスルフィド結合したジスルフィラム(疎水性)をプロドラッグとして用いることでこの問題点を解決し、新規抗白内障製剤開発を目指している。
マグネシウムイオンによる炎症予防及びNSAID副作用軽減に関する研究
 本研究室ではこれまでの研究で数多く存在するミネラルの一つであるマグネシウムに抗炎症作用があることを明らかとした。また、これらマグネシウムイオンはNSAIDの副作用である胃粘膜傷害の軽減作用を有していることを見出した。そこで種々炎症を伴う疾病に対するマグネシウムイオン摂取による効果を解明するとともに、NSAIDとマグネシウムイオン併用投与の有効性について検討を行っている