【研究概要】
世界各地の伝承、伝統薬物および西洋ハーブやスパイスなどの薬用食品を素材として、伝承薬効に基づいた生物活性を指標に探索して、医薬リード化合物やシード化合物および機能性成分の開拓を志向した研究を行っています。さらに、活性成分の作用メカニズムや活性発現の必須構造の解明など構造活性相関の解析および分子プローブを設計応用して標的分子の解明を進めています。

【研究素材】
・ スリランカ、ベトナム、タイなど東南アジアの薬用植物および香辛料
・ エジプトなど中近東やアフリカの伝統薬物
・ 中南米地域(ブラジル、ペルーなど)の薬用資源
・ 漢方方剤、和漢生薬および日本民間薬
・ 西洋ハーブ、機能性食品および薬用食物 など

【研究内容】
生物活性成分の探索研究-天然由来新規化合物の構造解析
生薬および天然薬物の含有成分を明らかにする目的で、抽出エキスについて各種カラムクロマトグラフィーおよびHPLCを用いて分離精製した後、NMR、MSなどの分析機器を駆使し、更には化学誘導や合成的手法、CDスペクトルおよびX線結晶解析などにより化合物の絶対配置を含めた全化学構造を決定します。

伝承薬効の解明および新規機能開拓-活性を指標とした薬理活性成分の解明
生活習慣病、がん、アレルギーなどの難治性疾患の予防、治療作用成分などの解明を目的として、ラットやマウスなどを用いたin vivo試験および組織や培養細胞または酵素などを用いたin vitroでのスクリーニング試験を行います。試験結果を指標に活性成分の探索を行い、伝承薬効の解明や有効成分を明らかにします。

天然由来成分の作用メカニズムおよび構造活性相関の解明と分子プローブの創製
強い薬理作用が見出された天然由来化合物について、作用メカニズムの解明を目的に、病態モデル動物や各種阻害剤などを用いて作用様式や作用部位を推定し、それらの系に関連した酵素やタンパク質への影響を調べます。また、天然化合物の化学変換や合成によって各種関連化合物を得て、それらの活性比較を実施し、活性発現の必須構造など構造と活性の相関を明らかにします。さらに、各種標識体などの低分子プローブを創製、応用して標的タンパク質を解明します。