植物により開花する時刻が異なるため、できれば色々な時間帯に植物園にいらしてくださいと 1 枚前のしおりに載せましたが、それでも開園時間の都合上、みなさまにご覧いただけない花がいくつかあり、何度かに分け、せめて写真でそれ等の花をご覧いただこうと思います。確かに当園で咲いているのですがね。
まずはチョウセンアサガオから。花の形が似ているので“アサガオ”という名がついていますが、実は夜に咲きます。
どうです?上のチョウセンアサガオは
このアサガオと似ていますか?
チョウセンアサガオの実は、皆さんが良く知るアサガオの実とはまったく違いますね。
チョウセン”は海外から渡来したという意味です。
閉園時間の4時では まだ つぼみの状態です。開園時間の10時にはもう萎びはじめていますが、天気が悪いと萎びる時間が少し遅くなるようです。白い花がなかなか美しいので、曇天の日に開園直後に見に来ていただくと、かなり良い状態で見ることが出来るかもしれません。
園芸の場では学名からダツラ(ダチュラ)と呼ばれる方が多いでしょうか。しかし、ダツラと呼ばれて栽培されているものには、チョウセンアサガオ以外の同属の別種もあります。
マンダラゲ(曼陀羅華)とも呼び、江戸時代の医師 花岡青洲(ハナオカ セイシュウ)がこのマンダラゲやウズ(烏頭:トリカブト)などを配合した通仙散(ツウセンサン)の処方を編み出しこれを用いて世界で初めて全身麻酔による乳ガンの手術に成功したとして知られています。また、チョウセンアサガオはアトロピンやスコポラミンといった重要な医薬品の製造原料ともされます。いずれにしろ、薬学を学ぶものとしては知っておくべき植物の一つです。
しかし、全草が有毒で、誤食による中毒事故も度々起こっていますので、注意が必要な植物でもあります。
とりあげた植物 について
★ チョウセンアサガオ
Datura metel ナス科
全草:生薬マンダラゲ(蔓陀羅花)
種子:生薬マンダラシ(蔓陀羅子)
全草:生薬マンダラ葉(蔓陀羅葉)
★ アサガオ
Pharbitis nil ヒルガオ科
種子:生薬ケンゴシ(牽牛子)日局18