本文へスキップ

近畿大学 薬学部 薬用植物園



しおり 23枚目 2022年7月28日RECRUIT

栽培している場所的にも難しいですが
 時間的にも見ていただけそうにありません

220728 220728

 このシナカラスウリは、バックヤードに植えているため、どの時間に咲こうとそもそも観察できませんが、かなり暗くなってから咲きはじめ、やはり朝早くにしぼむため、たとえ見学に開放している場所に植えたとしても、やはり来園者の方には見ることのできない花となるでしょう。あまり上等のカメラを使用していないため、暗い中でピントを合わせるのが難しく、写真を撮るのに結構苦労しました。レース状の花は可憐です。

220728 220728

 このような、きれいな形のボール型の果実ができます。

220728

 こちらは同じ Trichosanthes 属の植物、キカラスウリです。これは見学可能部分に植えています。キカラスウリも基本的には夜に咲きますが、翌朝も比較的良い状態で咲いていて、昼頃でも鑑賞に堪えそうです。なかなか変わった形の花ですので、来園者の方たちも良く撮影されています。

220728 220728 

 真っ赤な実で有名なカラスウリに対して、果実が黄色のためキカラスウリと呼ばれます。ウリ科の植物でつる性です。

  220728

 当園ではエノキにからみついて成長しています。エノキなのかキカラスウリなのかわからなくなるほどで、エノキの花とエノキの実に見えてしまいそうです(笑)。

 これらシナカラスウリ(局方では学名でのみ表記)、キカラスウリは、オオカラスウリとともに根を生薬カロコン(栝楼根)(日本薬局方収載)として用います。種子は生薬カロニン(栝楼仁)(局外生規 2022)です。
 オオカラスウリは当園にはありませんが、こちらも夜に開花します。同じようにレース状の白い花を咲かせます。
 

  1 m を超える長いねじれた形の果実(ウリ)を付け、その形の面白さから日本でも観賞用に栽培されることも有るヘビウリも、 Trichosanthes 属の植物らしく、レース状の花を付けます。しかし、10日ほど前の休日に大阪のある植物園で、炎天下の正午近くに、それはそれは良い状態で咲いているのを見て、少なからず驚きました。ヘビウリは日中に開花するのですね。レースの様子もシナカラスウリに比べてかわいらしいと思いましたよ。シナカラスウリやキカラスウリに比べて、ずいぶんと小ぶりですが、日中に咲くというのは、来園者には良いかもしれませんね。とはいえ、ヘビウリは原産地のインドや熱帯地域では果実を食用に使いますが薬用とはされないため、夜に咲くけれども生薬の基原となるシナカラスウリやキカラスウリの栽培を今後も当園では選ぶでしょう。

 とりあげた植物 について
★ シナカラスウリ
   Trichosanthes kirilowii ウリ科
   根(コルク層をできるだけ除く):生薬 カロコン(栝楼根)日局18
   種子:生薬 カロニン(栝楼仁)局外生規 2022
★ キカラスウリ
   Trichosanthes kirilowii var. japonica ウリ科
   根(コルク層をできるだけ除く):生薬 カロコン(栝楼根)日局18
   種子:生薬 カロニン(栝楼仁)局外生規 2022
★ オオカラスウリ
   Trichosanthes bracteata ウリ科
   根(コルク層をできるだけ除く):生薬 カロコン(栝楼根)日局18
   種子:生薬 カロニン(栝楼仁)局外生規 2022
★ ヘビウリ
   Trichosanthes anguina ウリ科
   未熟の果実:食用