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近畿大学 薬学部 薬用植物園



しおり 25枚目 2022年8月6日RECRUIT

セミの好み
 たまたま? それとも 何かあるの?

 キハダとニガキは似ていると、つねづね思っていました。
 植物の写真を撮ったあと、それらを整理するとき、キハダとニガキが結構似ていて、写真では どちらなのか 判断に悩むことが時々ありました。葉の付き方は違いますが、肝心の部分が写っていないこともあり、かなり写真とにらめっこをしたものです。

220806 220806

 植物をずいぶんと観るようになり、最近は小葉をじっくりとみて区別できるようになってきましたが、はじめの頃は、本当に時間をかけて、違いを探したものです。
 キハダはミカン科、ニガキはニガキ科と科は違いますが、キハダの樹皮が生薬オウバク、ニガキの樹皮を除いた木部が生薬ニガキと、使用する部位は違うもののどちらも苦味健胃薬として利用します。見かけだけでなく、ちょっと似ているよねと思っていました。

 ところで、当植物園は東大阪の都会の中で植物がたくさんあり、色々な種類の虫も多くいます。特に、夏はセミの声で、ヒトの声がかき消されるほどです。このセミが好んで(大量に)とまっていたのが、キハダとニガキです。あまりの ものすごい数に つい写真を植物園のHPの 2022.7.227.27)に載せてしまいました。ご興味のある方はリンクからご覧ください。不思議なことに、園内の他の樹にはこれほどいません。それは、たまたま私が見つけられなかっただけなのか?たまたまこの2種の樹にたくさんのセミがいるときに、園内を歩いたからなのか?
 それとも、セミは樹にとまって樹液を吸っているので、キハダとニガキの樹液はセミが好む味(成分)がするのか?キハダの樹皮(オウバク)もニガキの木部も確かに苦いのですが、樹液はどうなのでしょう? いやいや、セミはリンゴやナシなどの果樹を好むようですので、味ではなくて樹液の量でしょうか?探せばどこかに答えが載っていそうですが、推測してみる過程も楽しいですよ。 推測が終わったら、本で調べてみてください。

 とりあげた植物 について
★ キハダ
   Phellodendron amurense ミカン科
   樹皮(周皮を除):生薬 オウバク(黄柏)日局18
★ ニガキ
   Picrasma quassioides ニガキ科
   木部:生薬 ニガキ(苦木)日局18