外出も気後れしがちな最近ですが、お正月はどのように過ごしましたか? 多くのアニメや漫画で元旦に欠かせないものとして描かれる鏡餅、おせち、お屠蘇の3点ですが、実際にはどうでしょうか。特に、お屠蘇は年配の方がいらっしゃるご家庭では比較的飲むようですが、若年層ではほとんど薄れつつある食文化のようです。さらに、ここで取り上げる屠蘇散を用いたお屠蘇は西日本の習慣で、屠蘇を飲む習慣がない地域や清酒をお屠蘇として召し上がる地域もあるようです。
ちなみに、幼いころの私の実家は 核家族のためか(?)お屠蘇を準備していません。ところが、お屠蘇の文化も知らなくては結婚先で困ると考えた親が、まだ相手のあてもないのに、ある年からお屠蘇を復活しました。残念ながらと言うべきか、幸いにと言うべきか、パートナーの実家の地域ではお屠蘇を飲む習慣は無く、親の気遣いは全く必要なかったという
笑い話です。
『お屠蘇』とは、酒もしくは みりん に数種の生薬を一晩浸けたもので、お正月に一年の邪気を払い、長寿を願っていただきます。 屠蘇とは屠(ほふ)る=邪気を払う と、蘇(よみがえ)る=生き返る で、邪気を払い生気を蘇生させるという意味だといわれます。 一説では、中国で三国志時代の名医 華佗(かだ)が考案した処方『屠蘇延命散』(省略して『屠蘇散』)をお正月に飲む習慣が始まり、それが平安時代に日本へ伝わり、嵯峨天皇の御代に宮中行事として始められ、江戸時代に庶民にも広まったとされています。平安時代に書かれた紀貫之の『土佐日記』にも記載され、この時代は「とうそ」と呼んだようです。
屠蘇散はドラッグストアや通販でも購入できます。お酒またはみりんに浸しやすいようにティーパック状のものが多いようです。昔は、白い絹布に赤い糸三角形に縫ったものをティーパックのように使う風習がありました。
構成生薬については しおり 4枚目 に