本文へスキップ

近畿大学 薬学部 薬用植物園


 

しおり 4枚目 2022年1月11日RECRUIT

『お屠蘇(おとそ)』は 漢方 - 2
 含まれる生薬


お屠蘇については しおり 3枚目 に 

 屠蘇散に配合される生薬は参考にする原典によりやや異なり、
  ・サンショウ(山椒)
  ・キキョウ(桔梗根)
  ・ビャクジュツ(白朮)
  ・ケイヒ(桂皮)
  ・ボウフウ(防風)
の組み合わせが多いように思います。
これに香りのよい
  ・チンピ(陳皮)
  ・チョウジ(丁子)
を加えることもあります。
 これらのうち、サンショウ、キキョウ、ケイヒ、チンピ、チョウジは 日本薬局方収載の医薬品であると同時に、効能効果をうたわなければ食品として取り扱うことができます(非医)。しかし、ビャクジュツとボウフウは医薬品としてしか使用できないため、これらを入れなかったり、ビャクジュツの代わりに基原となる植物オケラの使用部位を葉に代えたり、ボウフウをハマボウフウといった医薬品以外以外としても使用できる生薬に置き換えて、スーパーなどで気軽に購入できるようにした商品も販売されていす。華佗(かだ)の作った『屠蘇延命散』には毒性の強いウズ(烏頭:トリカブト)や瀉下効果の強いダイオウ(大黄)なども配剤されていましたが、さすがに現在市販されている屠蘇散にはこれらの生薬は入れられていません。

220111_1220111_2

サンショウ:山椒
日局18収載
食薬区分:非医

サンショウ Zanthoxylum piperitum (ミカン科)
成熟した果皮
芳香性健胃


220111_3

キキョウ:桔梗根
日局18収載
食薬区分:非医

キキョウ Platycodon grandiflorus
(キキョウ科)

鎮咳、去痰、排膿





220111_5

ビャクジュツ:白朮
日局18収載
食薬区分:専ら医薬品

①和ビャクジュツ:
オケラ
Atractylodes japonica
キク科
根茎
②唐ビャクジュツ:
オオバナオケラ
Atractylodes macrocephala (Atractylodes ovata)
キク科
根茎
健胃、利尿

220111_7220111_8

ケイヒ:桂皮
日局18収載
食薬区分:非医

Cinnamomum cassia (ケイ、シナニッケイ)
(クスノキ科)
樹皮 又は周皮の一部を除いた樹皮
芳香性健胃、発汗・解熱、駆風
シナモン


220111_9

ボウフウ:防風
日局18収載
食薬区分:専ら医薬品

Saposhnikovia divaricata(ボウフウ)
(セリ科)
根及び根茎
発汗、解熱、鎮痛、抗炎症




220111_1220111_11

チンピ:陳皮
日局18収載
食薬区分:非医

ウンシュウミカン
Citrus unshiu
Citrus reticulata(マンダリンオレンジ)
(ミカン科)
成熟した果皮
芳香性健胃、鎮咳去痰

220111_13

チョウジ:丁子
日局18収載
食薬区分:非医

チョウジ
Syzygium aromaticum
(Eugenia caryophyllata)
(フトモモ科)
つぼみ
芳香性健胃
クローブ


220111_12

ハマボウフウ:浜防風
日局18収載
食薬区分:非医

ハマボウフウ
Glehnia littoralis
(セリ科)
根及び根茎
去痰、解熱、鎮咳



胃腸の調子を良くしたり、風邪に用いる生薬が使われています。

「食薬区分」「非医」「専ら医薬品」と、耳慣れない用語を並べてしまいました。
詳しくは、別のしおりに取り上げますので、今回は簡単に次のようにイメージしてください。
 食薬区分:医薬品としてしか取り扱えないのか、食品としても扱えるのかのを分ける法律的根拠のこと
 非医:医薬品だが、医薬品的効能効果を標榜しなければ、食品として取り扱えるもの
 専ら医薬品:医薬品としてしか取り扱えず、食品にはできないもの
例えば、タイソウ;ナツメやサンヤク;ヤマノイモなどは、「医薬品的効能効果を標榜しない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に掲載され、食品とできます。
一方、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト 」に載っていると、医薬品としてしか取り扱えません。