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近畿大学 薬学部 薬用植物園



しおり 35枚目  2022年10月21日RECRUIT

本当に もったいないのは どっち?
 命がけは お得ではない

 和名で「タイワンツナソ」といわれても聞きなれないと思います。

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 上の写真は最近の写真ですが、まだ???でしょうか。果実がついています。
 葉はこちら(下の写真)ですが、7月に撮影しました。

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 これなら、おいしそう。アラビア語から「モロヘイヤ」と呼ぶ、最近は日本でもメジャーな野菜です。かつてクレオパトラも美しさを保つために食べていたといわれます。色々な料理に使え、私も大好きでよく食べますので、おそらく、私の美しさも私のレベルに応じて、アップしてくれているはずです。

   

 市販されているモロヘイヤは問題ありませんが、ご家庭でモロヘイヤを育てて召し上がる方はお気を付けください。実は、モロヘイヤのタネ、莢(サヤ)、成熟した枝葉、発芽してすぐの若葉などには心臓に作用する強心配糖体(ストロファンチジン)が含まれ、これを食べると少量でも中毒症状を起こし、時には命にかかわります。牛が亡くなったとの報告もあります。

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 農家の方は毒性のない時期にしか収穫しませんし、花の付いたものは出荷できません。だから流通している市販品は安全です。なるほど、夏にはスーパーにたくさん並んでいたモロヘイヤが、10月頃にはまったく見かけないはずです。 ご家庭でせっかく育てたのにもったいないと思わずに、収穫時期に気を付け、種や莢など毒のあるものを間違って食べないようにしてください。

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 ご家庭でも、『花が咲いたら収穫しない』で ちょうど良いくらいです。小さな莢は気が付きにくいので。 命よりもったいないものはありません。 上の写真にも小さな莢が2個も写っています。

 とりあげた植物 について
★ タイワンツナソ = モロヘイヤ = ナガミツナソ( シマツナソ*
   Corchorus olitorius シナノキ科**
  * シマツナソはタイワンツナソの別名とされることがありますが、同属植物の学名 C. aestuans の標準和名もシマツナソであるため、混同しないように使い分ける方が良いでしょう。(2022.12.17 追記)
 ** DNA解析に基づくAPG分類体系ではシナノキ科ですが、形態や構造に基づく新エングラーの分類体系ではアオイ科に分類されます

* しおり35枚目は『近畿大学薬学部薬用植物園 薬用植物四季便り』column. 5を改訂して掲載しています。