里山での植物探しを もう少しお勧めしたいので、週末に大阪近郊の二上山でうろうろした報告をすると、ワレモコウやツバキ、コウヤボウキ、ゴンズイなど、比較的それとわかりやすい植物たちをはじめ、どれをご紹介しようかと悩むほどに色々な植物がありました。
「こんな植物も ありますよ」と自慢げに載せたい写真もいくつかありますが、どの仲間かはわかっても、正確な植物名が載せられず困っています。修行中の私としてはつらいところです。
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一本しか見かけなかったものの、写真のようにマムシグサの仲間の果実の赤色が林内で目立っていました。あえて仲間と表現していますが、マムシグサ(学名:Arisaema serratum)を含むテンナンショウ属(Arisaema)は日本に分布している種(シュ)が多く、それらの見わけも難しいため、マムシグサの仲間とざっくりと表現したいと思います。広義でマムシグサと表現する方もいますし、私も会話ではそのような使い方でマムシグサと呼ぶことも有りますが、狭義で種名のマムシグサ(学名:Arisaema serratum)を指していると混同されそうなので、この場では広義で呼ぶのは避けるべきでしょう。
テンナンショウ属の植物には、生薬テンナンショウ(天南星)として使われる種(シュ)もあり、当園でもマムシグサとムサシアブミを栽培しています。
マムシグサの仲間は日本各地に自生し、あちこちで見かけますが、当園の近くの生駒山では、そのうちのウラシマソウ(開花期のウラシマソウは釣り糸を垂らしているので判別しやすい)をよく見かけるものの、タイミングが悪いのか探し方が悪いのか、生駒山では狭義のマムシグサらしいものはみかけていません。
野生の成熟した果実を見た記憶もあまりなく、足を延ばしたかいがありました。
熟す前の青い果実をトウモロコシと間違ったり、熟した後の赤い実がおいしそうに見えたりするようで、マムシグサの仲間の誤食による中毒も時々おこっているようです。
ゲンノショウコの仲間も咲いていました。毛や葉も確認したので、まず間違いないと思います。ゲンノショウコ(学名:Geranium thunbergii)を含むフウロソウ属(Geranium)の植物も日本に多くの種(シュ)があり、よく見かけます。花や特徴的な果実からフウロソウ属ということはわかっても、その場ではゲンノショウコの仲間のフウロソウの一つなどと広義でフウロソウと呼ぶ未熟者です。
なお、ゲンノショウコはドクダミやセンブリとともに日本の三大民間薬の一つといわれ、地上部は生薬ゲンノショウコとして日本薬局方に収載され、シロバナのものは当園でも栽培しています。
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このように、どの仲間の植物かはわかっても、植物の形態を書籍や図鑑とつきあわせてみないと、種(シュ)を言えないものがまだまだ多く、勉強不足を痛感しています。現地に本を持参してみるのが最も良いのですが、なかなか重くて。実地と勉強あるのみです。
とりあげた植物 について
★ マムシグサ
Arisaema serratum サトイモ科
★ ウラシマソウ
Arisaema urashima サトイモ科
★ ゲンノショウコ
Geranium thunbergii フウロソウ科
地上部:生薬 ゲンノショウコ 日局18