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近畿大学 薬学部 薬用植物園



しおり 44枚目  2023年5月1日 RECRUIT

ツバキには雪が似合う
 そんなイメージがあるのです  

 確かにツバキは春の季語ですし、実際に春をとおして咲いていますし、四季のしおり43に書いたようにツバキが春の花ということに異議はないのですが。

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 私には雪の中に咲いているイメージを拭い去ることができませんが、同じような方が いらっしゃると思います。私の場合は、ツバキと良く似たサザンカがツバキに先駆けて秋の終わりから冬に咲くため、ツバキとサザンカの区別をあまりできなかったころにそんなイメージを持ってしまったのかもしれません。一般にはサザンカの花が終わるころからツバキ(ヤブツバキ)が咲き始めます。花の咲く時期もサザンカとツバキの見分け方の一つとされています。

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  ユキツバキは主に日本海側の豪雪地帯で雪解けの頃に開花するため、雪の中に咲くツバキのイメージはそのあたりからきているのかもしれません。ツバキは日本人に愛されているため、多くの園芸品種があります。それらの中にはサザンカに先駆けて咲くものもあり、雪の頃に咲く品種もあります。

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 ところで、このしおりを書きながら一つ不思議に思ったのは、かさねのいろめ(かさねいろめ、重色目≒襲色目)の椿は冬の組み合わせということです。かさねのいろめとは、平安貴族が衣服を着るときの色の組み合わせのことで、女房装束(十二単)の色の組み合わせといえば分かりやすいかもしれません。四季の変化を衣装に取り入れるたとは雅なことで、今も和服の着こなしに取り入れられています。椿のかさねのいろめが冬なのは、おしゃれは季節の先取りなのでしょうか。それよりも、11月〜2月に開花するカンツバキ(寒椿:椿と山茶花の交雑種)からの影響だと思います。

 とりあげた植物 について
★ ヤブツバキ (ツバキ)
   Camellia japonica ツバキ科
   種皮を除いた種子から得た脂肪油:ツバキ油(椿油) 日局18
★ サザンカ
   Camellia sasanqua  ツバキ科
   種皮を除いた種子から得た脂肪油:サザンカ油(山茶花油)
★ ユキツバキ(雪椿)
   Camellia rusticana ツバキ科
★ カンツバキ(寒椿)
   Camellia sasanqua 'Shishigashira' ツバキ科
   Camellia x hiemalis ツバキ科