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近畿大学 薬学部 薬用植物園



しおり 46枚目  2023年6月14日 RECRUIT

どっちがどっち?
 事故を防ぐ 一番わかりやすい決め手  

 刑事ドラマ、推理小説、アニメでしばしば登場する有毒植物のトリカブト。一度も名前を聞いたことも無いという方はいないのではないでしょうか。トリカブトを食べると、手足のしびれや呼吸困難といった中毒症状を引き起こし、死亡することもあります。厚生労働省や市町村の保健所など様々なところから注意喚起されていますが、それでも誤食による事故が起こっています。ヨモギやニリンソウ、モミジガサといった山菜の見た目がトリカブトと似ているためです。

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 また、民間薬としても使われるゲンノショウコもトリカブトと良く似ています。上は、トリカブトの種(シュ)のひとつハナトリカブトとゲンノショウコの写真です。どちらがどちらでしょうか? よく比べてみてください。

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 じつはどちらの写真にもゲンノショウコもトリカブト(ハナトリカブト)も一緒に写っています。葉の形といい、大きさといい、そっくりですよね。

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 当園ではこの2種を混栽しているわけでないのですが、広がったゲンノショウコがトリカブトと比較するのにちょうどよい位置にありました。それぞれの葉の特徴は明らかに異なり、それで見分けることもできますが、生兵法は大怪我の、いえ中毒のもと。なんといっても花が全く違います。ゲンノショウコの花や神輿のような果実を確認すれば、トリカブトと間違えることはないでしょう。

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ゲンノショウコの花

 第18改正日本薬局方では生薬ゲンノショウコをゲンノショウコの地上部と定めているものの、実際の収穫はゲンノショウコが良く育ち、下痢止め効果のある成分タンニンの含量が増える夏から秋にかけての花期が良いとされています。開花期に収穫すると花でそれと確認ができるというメリットもあります。

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ウマノアシガタ

  ゲンノショウコは他にもウマノアシガタという有毒植物にも葉が似ていますが、やはり花を確認することで、これと間違えることも防ぐことができます。

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ゲンノショウコ

 とりあげた植物 について
★ トリカブト
   キンポウゲ科トリカブト属植物の総称
   このうち、ハナトリカブトとオクトリカブトが日本薬局方収載の生薬ブシの基原植物とされる
★ ハナトリカブト
   Aconitum carmichaeli  キンポウゲ科
   塊根を加工:生薬 ブシ(加工ブシ) 日局18
★ オクトリカブト
   Aconitum japonicum  キンポウゲ科
   塊根を加工:生薬 ブシ(加工ブシ) 日局18
★ ゲンノショウコ
   Geranium thunbergii  フウロソウ科
   地上部:生薬 ゲンノショウコ 日局18
★ ウマノアシガタ=キンポウゲ
   Ranunculus japonicus  キンポウゲ科