本文へスキップ

近畿大学 薬学部 薬用植物園



しおり 8枚目 2022年3月7日RECRUIT

葉と芽を食べられることなく、無事に育ちますように
 トリにはわかる 食べてはいけないサインがあるのか(?)


 ジギタリスは毒のおかげで食べられなかったのに違いないと小躍りしたのもつかの間しおり 7枚目)、冷静になり周りを見ると。。。それでは説明できません。

220307220307220307220307

 食害を受けたあたりに植えられている植物を南側(植物園 奥側)から順に確認すると、ケール(硬いところを残して食べられる)、ヒナゲシ(食害あり)、発芽前の場所、ジギタリス(食害なし)、アブラナ(食害あり)、ヤグルマギク(食害なし)、アマ(食害なし)、通路などで少し離れてクコ(美味しそうな先の方の葉が食べられる)と並んでいました。食害にあった植物のうち、まだ苗のヒナゲシとアブラナには今は鳥よけが設置されています。

220307220307220307220307220307220307

 アマは茎を繊維(リネン:日本で麻と呼ばれている布のほとんどは現在はリネン製)として利用するので、葉も硬くて避けたのか?、やはり化学的(毒)に物理的(硬さ)に食害を防ぐ植物たちなのかと またしても私の脳裏に妄想がよぎりますが、私に勘違いをさせないために植えられたかのように、ヤクルマギクが食害を受けずにすくすくと育っています。ヤグルマギクは硬そうには見えず、では成分は?と興味がわき、少し検索しましたが答えにはいたれずにおります。花は食用にされ、ハーブティ(コーンフラワー)にもされます。トリとヒトとの種(シュ)の違いもあり、花と葉との部位の違いによる成分の違いもあり、毒もないのにムクドリは食べなかったとも簡単には言えませんが、食べなかった理由が何かあるのでしょうね。

 しおり 7枚目 の最後にも書いたように、そもそも少しは食べられてしまうので毒で食害を防ぐのは あまり良い戦略には思えません。トリの目はヒトの目と違う波長の光をとらえるとのこと、もしかすると『食べてはいけない』とトリに思わせるサイン(色)があり、トリの目で含有成分を探索をすれば新しい化合物に出会えるかもと、また楽しい空想をしてしまいました。もっとも、今の時代は技術の力でトリの目でも化合物を探しているとも言えますが。

植 物
・ジギタリス (Digitalis purpurea:オオバコ科)
 * DNA解析に基づくAPG分類体系ではオオバコ科ですが、形態や構造に基づく新エングラーの分類体系ではゴマノハグサ科に分類されます
・ケール = ハゴロモカンラン (Brassica oleracea L. var. acephala:アブラナ科)
・ヒナゲシ (Papaver rhoeas:ケシ科)
・アブラナ = ナタネナ (Brassica rapa var. oleifera:アブラナ科)
・ヤグルマギク (Centaurea cyanus:キク科)
・アマ (Linum usitatissimum:アマ科)
・クコ (Lycium chinense:ナス科)