先端バイオ医薬研究室

研究テーマ3-再生医療実用化のためのレギュラトリーサイエンス研究

 私たちの目指すヒトの恒常性メカニズムの探究は、皮膚臓器を素材とした基礎研究に根ざしています。ヒトの生体の恒常性とは、ほぼ同義に医療の要とも言えるでしょう。それゆえ、我々の研究成果のひとつひとつのそのどれもが、実用化への橋渡し研究となって結実しております。なかでも、再生医療の分野への貢献は大きくなっております。ただし、留意しておかなければならないポイントがあります。それは、実用化のためのレギュレーション(規則・規制科学)です。真実の探求に勤しむ基礎研究者には、概ねこの観点が見過ごされがちです。しかしながら、必ずと言ってよいほど注目される研究成果には実用化への道筋がつながっていきます。それゆえ、研究成果と実用化の在り方を考える科学であるレギュラトリーサイエンス(RS研究)を考えることは重要なのです。殊に、再生医療の実用化につながる基礎研究にとって、RS研究は肝要な研究分野と言って過言ではありません。
 基礎研究・臨床研究の成果を再生医療の現場で活用するには様々な過程を経て、長い時間をかけ審査される現状があります。この時間は、より効果的な再生医療を患者さんへ届けるために必ず必要となる時間であることはまちがいありません。ただし、この時間が大きな律速になってしまってはいけません。研究者はそのことに対して意識を働かせ、各々の研究成果を早く、広く実用化し社会貢献せしめる職責があります。しかしながら、多くの研究の現場では、実用化を意識した研究展開を成し得るのには困難な現状があります。その障壁のひとつが、成果を実用化に導く評価科学の難しさにあります。そのため、私たちは、根拠に元づく的確な予測・評価・判断科学技術の成果を人と社会との調和から人と社会との調和を考える再生医療実用化のためのレギュラトリーサイエンス(RS)研究も行っています。当分野での最高権威者のひとりである薬学総合研究所 元所長 早川堯夫先生のご指導のもと、再生医療分野、殊に幹細胞・皮膚科学を用いた再生医療に焦点を当て、私たちの成果を評価研究し、社会貢献に結びつけるRS研究も行っています。このようなRS研究成果が波及することで、国内で行われている多くの先進的研究成果が円滑に実用化され、迅速な社会貢献に発展する循環をサポートできることを目指しています。