酸素や二酸化炭素を取り込んだり吐き出したりする気孔を観察しませんか。気孔を閉じたり開いたりすることにより、水分の量を調節するのにも役に立っています。
もうすぐ夏休みも終わりですが、自由研究は出来ていますか?今からでも十分間に合うけれども、ものすごく努力したように見えるテーマを一つ紹介します。でも、時間がかからないというだけで、手抜きではないよ。むしろ、ものすごく素晴らしい自由研究だと思います。材料を選ぶところに自分の個性や発想力が出るし、私も今回実際にしてみましたが、見た植物の数が増えてくると、植物による違いが面白くて、もっと見たくなりました。
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・顕微鏡
・液体絆創膏 注1)
・色々な植物の葉
・つまようじ や 先の細いピンセット(なくてもOK)
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注1) 液体絆創膏
本来は、水仕事や入浴時に傷ぐちを守るものです。薬局、ドラッグストアー、通販で手に入れることができます。
薬剤師でもある私が、指定医薬部外品の液体絆創膏を用途外に使うことを勧めるのも?!と、戸惑う気持ちもありましたが、人体に使うわけではないので
よしとしましょう。レプリカを作るために接着剤やマニュキュアを使う方法もありますが、それらよりも液体絆創膏の方が、手についてしまっても気にならないし
はがしやすいように思います。
ハケの付いているタイプが便利です。ハケの硬さがメーカーにより違うので、葉への塗りやすさも違うようです。
注2) シソ(大葉)
シソは香りの成分がつまっているセンリン(腺鱗)という丸いツブツブのものが葉の裏側にあるので、それがレプリカにくっついて見えたら一番面白いと予想していました。それらしいものは見えましたが、あまりうまくできませんでした。センリン(腺鱗)は顕微鏡を落射型にして(上からルーペで見るイメージ)観察するほうが良さそうでした。
注3) スライドグラス
スライドグラスは顕微鏡に付属のものでいいですが、次々に色々な葉の気孔を見たければ、下の写真のようにクリアファイルを切って使えばいいと思います。なるべく透明で色がないものが
おすすめです。
端に植物の名前と表裏を書いておくと、後でわかりやすいと思います。
注4) 顕微鏡
今回は安価な(ですが とても優れものです)顕微鏡を使いましたが、本格的な顕微鏡を使うと、このような像を見ることができるので、中学校などで気孔を観察する実験に液体絆創膏を活用するのも良いと思います。
参考までにアジサイの葉の表面です。
X 100 X 200
今回 用意した葉の中で、一種類だけ観察できなかったものがありました。どれだと思いますか?答えはヒマワリです。なぜでしょう?試してみれば、なあんだと理由がわかるでしょう。その理由を知るのも発見ですし、ダメだったことも
また、自由研究に載せるといいですね。
ツユクサやムラサキツユクサは手で簡単に表皮を剥がせるので、気孔の観察にはよく使われます。教科書や問題集の定番といった感じです。これらを使うと、表皮の細胞の核や葉緑体も観察できるので、確かにとてもメリットがあるのですが。
ツユクサやムラサキツユクサって どこにでもありそうで(田園地域では雑草として勝手に生えてきます)、都会では意外に手に入れられないのですよね。
そこで、身近(植木鉢や冷蔵庫)にある植物の葉を使い、気孔を見ることにしました。葉の表面の凸凹を型にとって(レプリカを作る)観察するので、細胞の中身(核など)は見えませんが、その代わりに表皮を薄く剥がせないような植物の葉の気孔を観察することができるというメリットがあります。
植物の葉の表側と裏側の違いや、植物による違いを観察するのは結構面白くなりました。 最初にも書いたように、このしおりを書くための写真を撮ろうとして、つい面白くて、必要以上に色々な植物の葉の表皮の様子を観察してしまいました。
せっかくなので、その時撮った顕微鏡写真を何枚か載せておきます。植物の名前や、葉の表裏はあえて書きません。でもこんなに違うのですよ。今回試した中では、アサガオ、ツルムラサキ、モロヘイヤの葉の気孔が観察しやいように思います。